悪の華

生物学にキャリングキャパシティという概念があって 動物としてのヒトの密度の上限は 1 km2 あたり 1.2~1.4人だという 世界での人口密度は 1 km2 あたり 50人なので 上限を40倍も超えてしまったことになる ヒトはどう考えても多すぎるのだ ヒトは農耕や牧畜で食糧を確保し 行動圏を拡げることで人口を増やしてきた 400年前には5億にまで膨らんだ世界の人口が 100年前には19億 そして今では77億 自然災害、飢饉、戦争、疫病 どんな災難が降りかかっても ヒトが減ることはなく あたりまえのように増え続けた 生産技術の発達、品種の改良、化学肥料 石油エネルギー、公衆衛生、医学 物流の発達、IT、AI それで食糧が増え ヒトが増えた ヒトが増えたツケは重く 食糧の増加は頭打ちになり エネルギーは枯渇して 食料不足がやってくる ヒトは少なくならなければならない それなのにヒトは増え続ける ヒューマニズムという考えのせいで 生きられるはずのない場所で 生きられるはずのない人々が 上限を超えて大量に生まれる 援助という名の下に ヒトが増えるのを助け その結果どうなるのかは 想像できないでいる 助けられた人たちは 食ベものさえ作れない場所で 収入を得るすべもなく 援助や保護をたよりに生きていく 援助や保護で暮らすことが 幸せにつながるわけもなく 汗水たらして働くあてもなく 援助や保護が永遠に続くわけもない ヒトは少なくなったほうがいい 増え続けるだけではいけない ヒトは意識しないで環境を壊し 生態系を壊して生物の生存を脅かす 森林を伐採して都合のよい植物を植え 機械を作り毒をまき散らす 美徳でヒトを救うのが 結果としてヒトを増やすなら悪徳で 意識して環境を守ろうとしても 無意識で環境を破壊する ヒトの数が 100年かかって10倍に増えてしまったのなら 同じように 100年かかって10分の1 になってもいいのではないか 10倍に増えたのが嬉しくなかったように 10分の1 になるのも悲しくないかもしれない 減るのもそんなには悪くない